イタリア留学に対してどの程度英語が必要かということなんですが、私が出発前にエージェントから聞いていたのは「イタリア人は英語話せない人も多いから、そこまで必要ではない」という話でした。
私は愚かにもそれを都合よく解釈して、特に英語の教材などを見直したりせず、地力だけで出発したわけですが、かなり後悔しました。
結論からいうと、イタリア語留学といえど、最低限の英語は必要です。※個人的な意見ですが。
イタリア語超初心者(語学学校で一から学ぶつもり、くらいのレベル)かつ、英語を全く話せない、聞き取れない場合、期間にもよりますが残念ながら楽しい留学生活にはならないでしょう。
しかし逆に「英語はできるけどイタリア語はほぼ0」という人は、授業で地獄を見ます。
英語力に関わらず、イタリア語は必ずある程度勉強していく必要があります。
※この記事の内容は、個人差が大きい部分があります。あくまでも私の実体験による主観的な意見になります。一部人から聞いた意見もあります。
参考までに、私の出発時の英会話力は、「全くできないほどでもないけど、相手の言ってることはなんとなくわかる気がするし、状況によってはなんとなく自分の要望だけは伝えられるかもしれない。」くらいの、まあよくいる普通のレベルでした。
私の場合、仕事で海外のプロダクトについての説明書やパッケージを翻訳したりすることがあったり、外国人とのやりとりが頻繁にあったので多少英語に耐性はあると思っていたんですが、いざ英語で話しかけられるとほとんど聞き取れず、まず「え?」と答えることがほとんどでした。
イタリア留学を考えている方で、この記事を読んだ方はこの日から中学英語の教科書を買って、少しでもいいので勉強を始めてください。
それくらいイタリアへの留学でも英語は重要です。
どのような問題が起こるか、具体的なケースを交えてお話ししていきます。
友達を作るのが難しくなる
※初めに理解していただきたいのは、英語がないと絶対に友達ができないとか、生活できない!とかそういうことではなく、単にコミニュケーション上困るという事を伝えたい、ということです。
留学生活において避けては通れないのは、その国以外の外国人とのコミニュケーションです。
例えば、フィレンツェに留学にする場合、当然日本人だけではなく、ヨーロッパ各国やアジア、中東、アメリカ周辺など世界中から生徒が集まります。
これがどういう問題を引き起こすかお分かりでしょうか。
彼らは休み時間などに、何語で話すと思いますか?
当たり前だと言われるかもしれませんが、多国籍の人間が集まった時、基本的に彼らは英語で会話をします。
もちろんドイツ語圏やスペイン語圏の人だけが集まるとそれぞれの言語で話すこともあります。
が、基本的には英語で話しますし、英語ができないヨーロッパの生徒は一人も見ませんでした。
基本的に初級クラスのヨーロッパ人は、「来る前に1ヶ月くらいイタリア語を勉強した」、とか、「ずーっと前に学校で勉強した」、くらいの人が多いため(それでもすでにかなり話せています)、英語を多用しがちです。
中級クラス以降の諸外国人はイタリア留学経験者やイタリア滞在経験者、イタリア語を大学で専攻していた、などのケースが多いので、もうほとんど問題なくイタリア語を話せますが、それでも違う国同士や専門性の高い話や事務的な話になると英語での会話になることもあります。
そして、彼らはやはり私たち日本人にも英語で話しかけてきます。※特に初級の場合。
この時、英語ができない代わりにイタリア語で話せたらいいんですが、それもできないとなると完全にコミュニケーションが取れず、友達を作るチャンスを逃してしまいます。
なので、外国人と交流したい場合は、絶対に英語かイタリア語どちらかはある程度話せる状態(単語を繋ぐくらいでもいいです)で出発してください。
単純に、英語ができると友達を作りやすいということでもあります。
⇨出発前のイタリア語力についてはこちら。
上級クラスに行くにつれて、休み時間や学校以外でもみんなイタリア語で話すようになりますが、初級クラスではみんなイタリア語での会話が難しいため英語で話しがちになります。
向こうはまさかいくら日本人とはいえ(日本人が外国語が苦手なのは意外と知られていました)英語も話せないで海外留学しているとは思ってもいないようで、バリバリの英語で話してきます。
私の初登校日に、クラスメイトに英語で質問されて、よく聞き取れなかったので「ごめん、英語使うの慣れてないんだ。」と頑張って英語でいうと、「え!ごめん!そんなことがあるなんて思ってなくて!」みたいに謝られてしまいました。逆に私の方が申し訳なさでいっぱいでした。
例えば、英語圏の人3人、日本人1人の初級クラス(中上級は別)があるとすると、休み時間はほぼ英語での会話になります。特に、その3人が若い子たちである場合、まず間違いなく英語になります。
この中に混ざって会話できるかというと、ほとんどの場合かなり難しいですよね。(イタリア語でも同じことではありますが。)
でも、英語が少しでもできると少しだけは参加できるんです。
というより、「自分は参加する意思がある」という意思表示をすることが何より重要なんだと感じました。
うまく話せなくても、しっかり参加する姿勢を示せば、参加の意思あり、とみなしてくれて、意見を聞いてくれたり、話しかけたりしてくれるようになります。
●意思表示
この意思表示は英語に限らず結構重要だと感じました。
実際にあったケースですが、授業中みんなが発言している中、ある日本人生徒はいつも、わからないのか興味がないのか何も言わずずっと頬杖をついていました。(たまにセルフ腕枕みたいにしてました。)
その人に対して、先生やみんなは「大丈夫?具合悪いの?」と言うのです。
後から聞いたことですが、参加しない、意見を言わない、ということは欧米人には少々不気味に映るようで、機嫌が悪いとか、具合が悪いとか、そういう風に取られてしまうことがあります。
「話に入りたいけど、英語/イタリア語でなんて言うかわからない。」を理由に何も言わないでいると、参加の意思なしと取られてしまう場合があります。少々話がそれましたが、イタリア語が通じないタイミングにおいて、少しでも英語ができていれば意思表示くらいはできるわけです。
正直、友達ができるかどうかは完全に運と、本人の性格次第になってくるのでいくら英語やイタリア語ができたとしても、絶対に友達ができるというわけではないんですが、話に入れないというのはかなりのストレスになるかと思います。
私の場合、初級クラスの頃はこれで本当に苦労しました。
休み時間や、学校が終わってから少しバールに寄ったりして話すこともあったんですが、彼らが英語で話す内容について、意味はなんとなくわかるけど、自分の意見を英語で言うほどの英語力はないため、イタリア語で会話に挑戦するわけです。
しかし周りも初級クラスのイタリア語力なため、本当に伝えたいニュアンスとはズレて伝わるか、そもそも相手が単語を知らないということが起こって、円滑にコミュニケーションが取れないことが多々ありました。
出発前にもっと英語を強化していれば、もう少し彼らの言っていたことが理解できていただろう、と思ってしまうわけです。
もちろんイタリア語を学びにきている以上、英語ばっかり話すのも問題なので、補助として考えましょう。
アクティビティは問題無し
午後のアクティビティに参加する場合、基本的に先生がイタリア語で解説してくれます。
なので、逆に英語よりイタリア語がわからないと楽しめない可能性が高いです。
もちろん、英語が話せると他の参加生徒と話す機会は増えると思いますが、単にアクティビティに参加する上では英語は必須に感じませんでした。
英語が話せないイタリア人って?
エージェントもそうなんですが、よく「イタリア人は英語話せない人も多いから〜」という人がいますが、フィレンツェやローマなどの留学生が集まる大きな都市においてそのようなことはまずありません。
特にフィレンツェにおいて英語が話せないイタリア人に遭遇することはありませんでした。
しかも、このエージェントはフィレンツェでの滞在経験があるのにも関わらずこのように言うのです。英語を勉強しなかったのは私の責任ですが。
確かに、フィレンツェにもイタリア語しか話せない人はいます。
しかし、フィレンツェで普通に生活する上で遭遇する人は必ずと言っていいほど英語が話せます。
ましてや私たち日本人は外国人ですから、外国人を相手にする可能性がある職業の人との会話が多くなりますよね。
そういった、私たちとコミニュケーションを取る可能性が高い人達(レストランの店員、スーパーの店員、服屋の店員、学校の先生、駅員、美術館スタッフなど)と会話をする際は、まず間違いなく英語で話しかけてくると思います。
この時イタリア語で返せたら問題ないんですが、難しい場合、やはり補助的な意味でも英語が必要になるわけです。
実際にお店やジム、美術館を含め、イタリア語で話しかけてくる人はかなり稀でした。もちろんイタリア語で返すとイタリア語で話してくれます。
加えて、田舎の方でも海辺には観光客が集まるせいか、英語が話せる人が多いです。
逆に、観光客の少ない地方は当然イタリア語(とその地方の方言)しか話せない人の方がほとんどです。
ちなみに、語学学校やその他の学校の先生は100%英語が話せます。
初級の授業ではイタリア語の単語をわかりやすいように英語で説明する先生もいますが、この時英語が全くわからないと、一歩遅れてしまうことになります。
他の人のために
これは全員が絶対そうだとは言いませんが、多人数で会話する際、自分だけ英語がわからないといちいち周りに気を遣わせてしまうわけです。
私が滞在している間ずっと連んでいたフランス人の友人は、大人数でいるときは常に私に気をかけてくれて、「それくらいはわかるぞっ」というような内容の英語でもイタリア語に翻訳してくれたりと気を遣ってくれました。この時、感謝とともに申し訳なさが押し寄せてくるわけです。
自分のせいで会話が止まったり、通訳してくれる人がいる場合その人に負担をかけることになるわけですから、バイク旅行で一人だけ自転車、みたいな状況が起こって、どうしてもみんなに迷惑がかかってしまいます。
いろんな生徒を見ていて思ったのは、当然のことなんですがその生徒たちが私とイタリア語で話している時より、他の生徒同士で英語で話している方が明らかに言葉の密度が濃く、会話がリアルだということです。
これは単に私のイタリア語力が低かったとか、ヨーロッパ人同士だからとかではなくて、やはり英語(強力なコミニュケーションツール)あってのものなんだろうという印象を受けました。
日本語の表現をそのまま英語やイタリア語にするのは難しいですが、英語はイタリア語と似ている部分が少なからずあります。
この、翻訳する際の摩擦が少ない方がよりダイレクトに感情を伝えることができます。英語(もちろんイタリア語も)を理解するということは、お互いのことを理解することにつながると考えています。
周りのために、というのは、他の人のために英語を勉強するという意味ではなく、他の人の気持ちをより理解するためにも、少しでも英語を理解したほうがいいのではないか、という意味です。
イタリアでイタリア語が通じない!?
「イタリアにイタリア語を学びに行くんだから、イタリア語だけで十分!」と思っている方は、上級者を除いて考えを改める必要があると思います。
その考え方は決して間違っていませんが、それではあまりにも不都合が多過ぎると感じました。
ローマやフィレンツェなどの都会であればあるほどこの問題は大きくなると考えています。
イタリア語だけでいいと思っている人は、イタリアにもイタリア語が通じない相手がいることを想定していません。私も想像力が欠如していました。
語学学校(主に初級)にはイタリア語がほとんどわからない人もたくさんいます。
そういう人と話す機会があった時、国際交流のチャンスを逃さないためにも「英語は不必要」と切り捨てることはできないなと感じました。
●語学学校以外の学校や、職場に行く予定がある方は要注意!
さらに、私のように美術学校に通う予定があったり、職場体験など予定のある方は要注意です。
私が美術学校に通い始めたのは文法と会話がCクラスになってからだったので先生との会話で困ることはなかったんですが、他の生徒とのコミニュケーションは困難を極めました。語学学校なら当然みんな目的の一つに「イタリア語を話せるようになる」ということがあるので、お互いにイタリア語を話す理由があるんですが、それ以外の学校や職場ではそうも行きません。
芸術学校にはみんな芸術をしにきているだけなので、イタリア語の勉強をしていない人もたくさんいます。
この目的の違いから、イタリアにいてイタリア語を話しているのに誰にも通じない、ということが起きます。私の芸術学校にはたくさんアメリカ人がいましたが、誰もイタリア語がわからないのでコミュニケーションに困りました。
英語で話しかけられてイタリア語で返すと、「私はイタリア語も日本語もわからないから…」と言って会話が終わってしまったり、私に声をかけようとしていた人が「彼はイタリア語を話すからなぁ…」みたいに言ってたこともあります。
「イタリアに来るんだからイタリア語少しはやってこいよ」と思うかもしれませんが、どうもそうはいかないようで、向こうからすれば「英語くらい話せとけよ」という感じなんでしょう。
英語ネイティブの人たちに言われると条件が全く違うので複雑ですが、実際ヨーロッパにいくなら英語はできていたほうがいいでしょう。要は、語学学校以外の活動の場がある人は英語が必要だと感じる場面があるでしょう。
そもそも、普通に暮らす場合、学校以外でどこまで純イタリア人と話す機会があると思いますか?
実際に暮らしてみると、「意外とイタリア人と話す機会ってないな…」とすぐに気づくはずです。
スーパーでは単語だけで済みますし、そもそもほとんどの場合会話にはなりません。
洋服店などのお店では少し会話ができるかもしれませんが、しっかり身になるような話はできないと思います。
これ、学校でも結構話される話題なんですが、先生や友達に「学校以外でイタリア人と話したりしてる?」みたいな質問をされるわけです。
その時、ほとんどの人が「してない」と答えるか、「ホームステイ先の人と話している」、と答えていました。
なので、ホームステイを検討している方はもしかしたらイタリア人オーナーと毎日イタリア語で話す機会を得られるかもしれませんね。
それ以外の場合、特にシェアハウスの場合は特に英語は必要と言えるでしょう。
狭い範囲でのことですが、私の通っていたジムでは外国人がたくさんいたのでイタリア語がわからない人が半分以上でした。⇨フィレンツェのジムについてはこちら。
イタリア人にイタリア語で「ここ使ってもいい?」と聞かれた外国人が、英語で「え?イタリア語わからないよ!」と答えているような場面を何度も見ました。
しかし、これがそれぞれ逆だと9割は会話が成立します。
英語があまり話せない人(日本人でもイタリア人でも)が英語で話しかけられても、多分どこかで聞いたことがある言語なので、何が言いたいかなんとなくはわかるはずです。
しかし逆は絶対に起こり得ません。
イタリア語がわからない外国人は、イタリア語で話しかけられてもおそらくほとんどわからないことでしょう。
つまり、イタリア語だけではフィレンツェで完全な生活を送ることは難しいと言えると考えています。
※イタリア語が必要ないと言っているわけではありません。
英語無しでのアルバイトは難しい
私たち日本人がイタリアでアルバイトをすることは現実的ではありません。
これは、インターンシップでも同じことです。
イタリア語がどれだけ堪能でも私たちが外国人である以上、英語ができないと雇用される確率はかなり低いと言えます。
実際にイタリアの大学に通っている英語ができない日本人で、バカンス期間中に語学学校に来ている人がいたんですが、その人ですらアルバイトはかなり難しいということでした。
履歴書を読んでもらうことからまず難しいらしく、英語ができないと言うことがかなりのマイナスポイントになってきます。
英語ができるかどうか以前に、フィレンツェほどの都市でもアルバイトはほとんど見つからないと思った方がいいでしょう。
これも実際にあったことですが、私の友人のフランス人も午後からのアルバイトを探しておりましたが、結局在学中は見つかりませんでした。
彼は生活費的には問題なかったのでそこまでガッツリ探してはいなかったでしょうが、彼は英語(全く問題なく話せる)、フランス語(ネイティブ)、スペイン語(結構話せる)、イタリア語(結構できる)が話せるという言語スペックでしたが、これでも難しいのが現状です。
そんな中、英語ができない、イタリア語も勉強中、という日本人が雇ってもらう難しさがお分かりいただけると思います。
私の利用したエージェントは気軽にインターンシップを勧めていましたが、英語ができない場合のインターンシップには注意が必要です。
職場の人やお客さんは、英語なんて当然話せるものとして話しかけてきたり指示したりしてくるわけです。
インターン自体が難しいとまでは行かないまでも、困ることは確実に増えるでしょう。
特に、アルバイトに関してはイタリア語上級者、もしくは英語が堪能な人にしか可能性はないと考えてください。⇨留学中のアルバイトについてはこちら。
日本での卓越した経験や知識があれば、分野によっては可能かもしれませんが、ほとんどの場合留学生のイタリア語力では難しいでしょう。
しかし必ずしも必須ではない
じゃあ英語ができないと絶対に友達もできないし楽しい生活は送れないのかというとそんなことはもちろんありません。
私も上記の通り全然英語はできませんでしたが、イタリア語を少し勉強してきていたおかげでコミニュケーションが全く取れないということはありませんでしたし、奇跡的に友達にも恵まれ、お店でも困ることは特になく、しっかり楽しい一年を過ごすことができました。
街においても、イタリアである以上、お店の店員や職員の人は当然イタリア語を話せますので、イタリア語自体を疎かにする理由はありません。
イタリア語は当然ある程度勉強していった上で、英語も基礎的な文法くらいは理解しておきましょうということです。
あくまでも可能性を広げる手段の一つとして、準備しておいた方がいいということです。
まとめ
長々と書きましたが、総括すると、ヨーロッパに留学する以上、最低限の英語は必要だと言う事です。
私の場合、日常において困る場面があまりに多かったので、最低限の英語学習を強くおすすめしたいです。
友達が必要ないと言う方は正直英語がなくてもイタリア語さえできれば生活には困らないとは思います。
全員に当てはまる内容の記事ではないと思いますが、英語が必要かどうかで悩んでいる方は参考にしてみてください。