イタリア留学において、留学中にアルバイトができるかどうか、についてについて書いていきます。
この記事では、検索すれば出てくる情報の他に、実際現地ではどんな感じだったかも書いているので参考にしてください。
法律的に可能かどうか
結論から言うと、法律上は可能です。
が、実際はまずできないと考えておいてください。※後述
イタリアの労働に関する情報が載っているサイト「dottrina per il lavoro」によれば、外国人留学生は「週20時間以内、または年間1040時間を超えない」かぎり働くことが可能です。
他にも「イタリア留学 バイト」で検索するといくつかわかりやすいページが出てくるのでそちらも参考にしてください。
※ここでいうアルバイトはイタリアでいう「lavoretto」のことです。
現実的にどうか
上でも触れましたが、おそらく9割の人は、バイトはできないと思っておいてください。
※能力があったり、コネがあったり、目処が立っている場合はこの限りではありません。
実際私はエージェントに、「アルバイトできますよ。」とさも簡単そうに言われましたが、そんな訳ないので決して真にうけないでください。
もちろん、「いや、私はすぐバイト見つかったけど。」という人も当然いるでしょうが、そういう人は他の人には無い能力(イタリア語・英語ができるとか、バリスタ等なんらかの技能があるなど)があったり、コネがあったりするはずです。そうでない場合は神に感謝してください。
もし、予算がギリギリで、「現地でバイトすればなんとかなる…!」と考えている方がいたら、残念ですが出発時期を伸ばしてお金を貯めてください。
他所の記事でも書かれているかと思いますが、能力が平均的な日本人である場合、雇ってくれる確率はほぼ0と考えてください。
理由はいくつかあります。
❶英語ができないと仕事もない
「ミラノでは英語ができないと就職先もない」とミラノ人が言っていたのを聞きましたが、決して大袈裟な話ではなく、私の滞在したフィレンツェでも英語ができないとお金をもらうのは難しいのが現状です。
ちなみに何度か触れていますが、「イタリア人も英語できない」は嘘です。相当な田舎でないかぎり、というか留学生が行くような街ならほとんどの人が得意では無いだけで、普通に話せます。
実際、度々登場する私の友人アレックスがバイトを探していた時、彼は4ヶ国語も話せるにも関わらず、長いこと仕事が見つかりませんでした。
やっと見つかった仕事は駐車場の見張りで、時給は7ユーロです。
このバイトが見つかるまで、彼は午前は学校に行きながら、フランスの企業からリモートでできる仕事をもらったりしてやりくりしていました。
こんな中、英語ができない日本人に仕事があるでしょうか。
さらに問題なのが、じゃあ英語ができたからって仕事があるのかというと、そうでもないでしょう。
逆の立場ならわざわざ言語の怪しい外国人を雇うことはしないと思います。
❷イタリア人ですら仕事を見つけるのが難しい
先生が言うには、アルバイトが見つかったら「おお、神よ!と感謝するレベル。」、とのことで、「日本の仕事の見つけやすさは本当にすごいと思うわ。」と言っていました。
実際日本では業種を選ばなければ、その日から働くことだってできるということを考えると外国で仕事を探すのは難しいと言えるでしょう。
というかイタリア人でも仕事がないのに、外国人に仕事があるかどうかは怪しいですよね。
❸現地に数年滞在している日本人学生でも仕事を見つけるのが難しい
合計4年イタリアに滞在している学生から聞いた話ですが、「4年いてもバイトに一回も受からなかった」と言っていました。
この一言だけでどれだけの壁の高さか理解できると思います。
日本で4年間バイトが見つからなかった大学生なんて聞いたことないですよね。
本人がどこまでやれるか(言語をはじめ、経歴など)によって変わるのはもちろんですが、難しいことに変わりはないでしょう。
❹バイトをしに留学に来たわけではないはず
我々外国人からすると、イタリア(海外)でバイトすることで得られる経験や知識はかなりの価値がありますが、一応留学はものすごいお金を使って行うことですから、1秒も無駄にすべきではないと考えています。
インターンはまた話が変わってくるんですが、特に親御さんに費用を出してもらっている方はよく考えるべきだと思います。
大学の講義をサボってバイトをするような感じと似ていますね。
そもそも、働ける働けないを抜きにして言うと、週20時間、1日4時間もバイトしてたら勉強する時間や街に出かける時間がなくなってしまいます。
そもそも、これだけの狭き門をくぐるために必死にバイト探しをする時間がもったいないと思いません?
他の問題点
はっきり言って日本の労働環境は世界でもかなり悪い方だと感じていますが、イタリアも別の方向にぶっ飛んでます。
●最低賃金
まず、私の滞在した2021-2022年の段階で、イタリアには最低賃金が存在しません。(現在導入を協議中とのこと。)
なんだって!?と思うことでしょう。実際私も、何度も聞き返しましたが「残念だけどないの。」とのことでした。
ひどいところでは、マーケティング会社でのマーケティング、SNSの更新、電話・メールのやり取り、営業などさまざまな業務を求められたうえ、提示された時給が5ユーロだった、と言う話を聞きました。
これを考えるとアレックスの7ユーロはまだ良心的です。
●ブラック・ジョブ
さらに、もうご存知かと思いますが、いわゆる「ブラック・ジョブ」と言われる正規の契約を交わさない雇用の問題です。
これは何も、ひどい仕事をさせられるのではなく、闇っ子的なニュアンスの「ブラック」です。
正規の契約を交わさないので、時給も低い、いつでも解雇できる、税金も払わなくていい、というものなんですが、英語圏やヨーロッパからの留学生でバイトしている人はほぼこのブラック・ジョブ形態の雇用でした。
特に料理の勉強で来ている人(私の周りでは全員日本人)はこの形態で店に入ることが多いと言う話もあり、「うちのレストランでは、全員契約なんかしてない」と言う話も聞きました。
字面ほどブラックな印象はないらしく、私の周りのバイトしていた人(と言っても4-5人)のはもう全員ブラック・ジョブの形態での雇用でした。
インターンの現状
インターンを経験した方に詳しく話を聞けたので共有します。(本人確認済み)
私の周りでもその人の周りでもインターンに行った人は日本人しかいなかったのですが、学校選びがかなり重要になってきます。
インターンに強い学校というのは、学校や校長と企業のコネクションがあります。
イタリア語があまりできなくてもインターンの体裁を保てるのは学校と企業のつながりがあるからです。(イタリア語があまりできない日本人(学生)がいるということを共有できている。など)
とにかく、インターンを推している学校を選ぶことが必要になってきます。
エージェントのパンフレットを利用して、自分で学校名で検索してホームページを見てみてください。
・一例ですが、「アカデミア・リアチ(フィレンツェの語学学校)」はインターンシップについて明記していますね。こういう学校にコンタクトをとってみましょう。
※検索して出てきたところを載せただけなので、この学校に日本人スタッフがいるのか等は不明です。雰囲気こんな感じということで。
・給料は出ない。
イタリアのインターンは給料が出ません。そんなケチな!と思うかもしれませんが、法律上インターン生に給与を払ってはいけないとのこと。
こちらも週20時間勤務となります。
場所によりますが、基本的にシフト制で、日本のようなシフトへの度を超した厳しさはないとのことで、休みたかったら休めます。
それに対して嫌な顔をされることはまぁないそうで、この日は入れるか、のような打診があるくらいです。
・英語は必要か
英語に関する記事でも書いていますが、イタリア留学に英語はある程度必要だと言えます。
インターンにおいても、ペラペラである必要はないが、絶対に使うので英語力があるに越したことはない、という話でした。
イタリア語に自信がない頃は、英語が同僚や外国人客と意思疎通をする唯一の手段でもあります。
インターンについては別で記事を書こうと思います。
イタリアで働きながら勉強するには
いくつかあると思うんですが、まず簡単なのは、日本の企業からリモートで仕事をもらうことだと思います。
何ができるかは人それぞれだと思いますが、一番現実的なのはこの方法かと思います。
がっつり仕事を続けながら留学に来ている英語圏の人もいましたが、時差の影響でミーティングが早朝、深夜になることがあるので勉強の環境としてはあまりよくないなと感じました。
午前の授業はこなかったり、きても眠そうだったり、そもそも1日休んだり、というようなことが多かったです。
抜け道としては、フィレンツェにいくつかある、「日本人がやっているお店」なら雇ってもらえる可能性はかなり高くなるでしょう。
それでもブラック・ジョブだとは思いますが。
しかし注意したいのは、それだとイタリアで仕事する意味があんまりないと言うことです。
目的に沿ったところならいいんですが、バイトしてたら1日が終わった、みたいなことは絶対に避けましょう。
オーストラリアにワーキングホリデーで行った日本人の怖い話。
この人は英語ができないから日系のうどん屋さんでバイトをして、周りも日本人ばかり、英語を使う機会もない、という環境だったそうです。
当然帰国後も英語は話せず、結局1年間うどんを茹でていただけ、となってしまったのです。
留学の場合学校には行くはずなので話せないまま帰る、ということはそうそう無いと思いますが、想像すると怖いですよね。
インターンや料理修行でも、話すことや勉強することをおろそかにしていると語学は伸びません。
大抵そっち(勉強以外)に力を入れすぎると学校にも来なくなる人が多かったので、一応頭に入れておいてもいいかなと思います。
まとめ
留学中にバイトを探し、勉強やその他の活動と両立するのはかなり難しいという結論です。
予算に余裕のない方はまず、日本でお金を貯めてから出発することを強く勧めます。