フィレンツェの家はどんな感じ?

留学には住む場所が必要ですが、実際にフィレンツェの家ってどんな感じなんでしょうか。
私が住んだ部屋、友達の部屋、内覧で見に行った部屋、の実体験をもとに考察していきます。


 間取り

いきなりですが、初めに私の滞在した部屋の間取りを載せておきます。

・間取り。実際の大きさではなくイメージで作りましたが、形はイメージしていただきやすいかと思います。変な構造のバストイレですね。図の右側にも他の世帯の部屋があります。
一見広いやん!と思うことでしょう。とんでもない、普通に狭いです!

 フィレンツェに住むと言うこと

30歳の私の個人的な印象だけでいうと、色々割り切って諦められるか、そもそも無知であるか(語弊がありますが後述します)でなければフィレンツェもしくはイタリアという国で一生暮らしていくのは難しいと感じました。
ここで言う割り切って諦められるかというのは、設備や生活習慣についてです。

土足文化
イタリアではまだまだ土足の文化があります。
この話をすると、おそらく何人かのイタリア人は、「うちでもそうだよ」とか、「脱ぐ時もあるよ」的なことを言うと思います。
まずこの言葉は鵜呑みにしてはいけません。
土足じゃない=床が綺麗と言う意味ではない上に、そもそも土足に対して選択肢がある時点で私たちの考えとは全く異なりますよね。
家の構造で言うとまず土間がありません。つまり靴を脱ぐエリアが決まっていません。
なので外の汚れは入り放題です。


・私のいた部屋の玄関。間取り図を見ていただくとわかるとおり、ドアを見て左はキッチンなんですが、ここの汚れはキッチンにも入り放題です。さらにこのドアは内開きなので、結構なエリアが砂や土に侵されます。

そして、最近イタリアでも増えてきているらしい、家では靴を脱ぐ家庭ですが、例えば水道業者などの業者が来た時、彼らは靴を脱ぎません。
日本では考えられないことですが、この人たちは仕事できているから絶対に脱ぐことはないとか言う謎の理由があり、もし脱いでくれと言おうものなら「冗談だよな?」と聞かれることになります。
これはもう文化なので受け入れましょう。
コロナの時期には土足は減ったらしいんですが、この国の人たちがそんなに簡単に生活を変えられるはずもなく、ちょっとだから靴のまま、がどんどん伸びて脱がなくなって、今ではすっかり元通りです。
うちは靴を脱ぐから綺麗だよ!と言われても、その人たち以外のお客さんや外の人は靴を脱いでない可能性が高いです。
私の部屋は大家が土足禁止と言っていながら、大家は土足のまま、大家の友達も土足、上の階の人も土足、業者も土足、にも関わらず私の自転車は床が汚れるから部屋に入れるなと言うのです。
床についての概念がまず違うようです。

知ってしまっているということ
無知であることについてですが、これはイタリア人がどうとかではなくて、私たち日本人がということです。
例えば私たちはウォシュレットを知っていますよね。家庭にある人も少なくはないはずです。なくたって存在は知っているはずです。何ができてどうなるのかも理解できるはずです。
私が日本で昔借りていた家賃2万5000円のアパートですら、洗浄機能こそないものの便座は温められるものでした。
しかし、ウォシュレットを使ったことがあることはおろか、存在を知っているイタリア人は果たしてどのくらいいるでしょう。
イタリアでは未だビデが主流です。素手でトイレの後のデリケートゾーンを洗うんです。便座は氷のように冷たいです。⇨トイレの記事
何が言いたいかというと、イタリアで生活するには、ウォシュレットに頼っていた生活をごっそり忘れなければなりません。
トイレの話は一例ですが、このように、私たちが知ってしまっているからこそ感じる不便が部屋の中だけでかなりの数あります。
クーラーがないのもその一つです。

 フィレンツェ住宅事情

賃貸契約について
こっちでよく聞いた話ですが、フィレンツェでは賃貸契約がかなり杜撰です。
口約束みたいなところが多く、日本のように保証人がどうとか契約書を何枚も書いたりとか、何枚も役所の書類がいるということはありません。
しっかり契約してしまうと大家の税金の関係上都合が悪いという話も聞きました。
私も滞在許可証の件で大家に書類を書いてもらいましたが(詳しくは滞在許可証の記事へ)、大家から初めにもらった書類は「この人をゲストとしてタダで泊めています。」というものでした。しっかり払っているのに。
その後、住みだして半年経ってから(滞在許可のくだりの1ヶ月後)まともな契約書を書きました。これもそんなに気にしなくていいと言われましたが、一応ちゃんと説明はしてもらってください。
なので、ハズレの大家だとめちゃくちゃなことを言われる可能性があるため、学校を通さない場合や現地で引越し先を自分で探す場合は十分注意してください。

大家に注意
私は無理して独立アパートを借りたんですが、独立アパートなのに大家とその友達が毎月のようにやってきて(当然土足)、きちんと使っているかチェック+掃除をされていました。
これが非常にストレスで、あれが汚いこれをやめろこれは捨てろ、という過干渉っぷりでした。ある日家から帰ったらものの配置が変わっていて、ゴミがなくなっていました。数時間後に大家から「言うの忘れてたけど朝掃除しといたから」と連絡が、ということもありました。
なんと、大家とその友達と上の階の人は鍵を持っていて、私の部屋にいつでも自由に出入りできるというのです。

今思うと、この大家はもしかしたら人に部屋を貸すのは初めてだったのかもしれません。
私の体感ですが、この大家は「私の部屋を貸してあげてる」という感覚がかなり強い気がしました。家賃9万円も取っておいて!(光熱費は込みでしたが)
もちろんこんなやばい大家は少ないでしょうし、性格は人それぞれですが、起こりうるケースとして一応頭に入れておいてください。
実際に友人の部屋の大家はかなりいい人というかまともな人で(私の大家もいい人だったし、親身にはなってくれました)、いいな〜と思うことが多かったです。勝手に部屋にも来ないし。

周りに言ってもこれはかなりおかしなことらしく、多分滅多にいないタイプの大家だと思いますが、実在するので初めの方にしっかり確認しましょう。あなたは家に来ますか、とか。
イタリア人家族やイタリア人とのルームシェアの場合、おそらくそういうのは顕著に現れるはずです。
共同生活の場合特に、この人の地雷はどこにあるかチェックしながら生活しましょう。

電気が少ない
ほんとにどこでもそうなんですが、とにかく部屋が暗い!
私の部屋は勉強できないくらい暗くて、なんとコンセント式の裸電球一個でした。天井には電気がない。
リビングというかテーブルが置いてある部屋にも裸電球が三つだけ。全部つけるとまだ生活できるくらいにはなります。
机に座ると手元が真っ暗になるので、USBのデスクライトをAmazonで買いました。
それでもまだ暗いんですが、私の部屋は先述の通り光熱費込みの家賃だったので、大家に毎回電気を節約しろと言われていました。
電気を消したら勉強できないので無視してつけていましたが、大家が言うには日中は窓を開けたら電気はいらないというのです。
窓については後述しますが、この窓を開けるというのはもう全開にするということになるので、そんなことをするともういろんなものが入ってくるわ外からは丸見えだわでかなり難しかったです。
どんな部屋でも思っている以上に暗いので、注意しましょう。特に賃貸情報に載っている写真はほぼ100%明るく加工しています。
これも日本の部屋では電気が容易につけられる、ということを知ってしまっているので感じる不便です。

 窓の問題

フィレンツェは建物が古く、ほとんどの建物で同じような窓がついています。

 
・この緑とかブラウンの窓がペルシアーナです。お昼は開けているところがほとんど。一階は大抵鉄格子があるので、スライド式のものが多いです。

夏についての記事でも書きましたが、この窓は、ガラス窓+ペルシアーナという鎧窓の二重構造になっています。
このペルシアーナは風を通して日光を遮り、部屋の温度の上昇を抑えるというしっかりした役割があるんですが、そこまで劇的な効果は感じられず、普通に暑いです。
使い方としては、気温の高い夕方までガラス戸は開けてペルシアーナは閉めておいて、夜になったら全部開けて冷たい空気を入れる、というものです。
全部開けたら蚊や虫やヤモリ(フィレンツェにはトカゲ類がめっちゃいます。特にヤモリ)が入り放題なので、寝るときはペルシアーナは閉めてハンディ扇風機を使っていました。
私が見たどの部屋にも網戸はついていませんでした。もっと中心地の高い部屋にはついていることもあるんですが、私の住んでいる地区や友達が住んでいた地区の部屋では見ることはありませんでした。
これも網戸を知ってしまったからこそ感じることかもしれません。
留学生活中は耐え切れると思いますが、永住となるとかなーりきついでしょう。


・一階は鉄格子なことが多いです。歩道に面してなくても鉄格子の場合が多いですね。

⇨洗濯物を干す場所についてはこちらの記事を参照してください。

 不具合

フィレンツェの建物は基本的に古いものが多く、日本では一年に一回起こるかどうか、の問題が頻発します。
基本的な問題としては、ブレーカーが落ちる、停電、ガスが点かない(お湯が出ない)、水が出ない、トイレが詰まる、ドアが開かない、が挙げられます。
私は半年で全て体験しました。初めこそ大家に連絡していましたが、慣れるとどのくらいで復旧するかわかるようになります。
基本的に大家に連絡して欲しいんですが、一応私の体験に基づく対処法をそれぞれ書いていきます。

ブレーカーが落ちたら
ブレーカーが落ちるということは、何かしら電気を食いそうなものをコンセントに刺していると思います。
私は日本から持ってきた電源タップを変圧器に挿してからコンセントに挿した瞬間にブレーカーが落ちました。
ブレーカーが落ちたらブレーカーを戻せばすぐに解決します。


・ブレーカー。停電の時、大抵左端のメインスイッチが落ちていることが多いです。
ブレーカーの場所ですが、私の部屋の場合キッチンにあったんですが、まず入居の時にどこにあるか確認しましょう。

停電
停電は何度かありましたが、こっちの停電はスケールが違うようで一区画、街ごと停電します。
なんと信号も止まります。でも車は止まりません。というか誰も信号が止まっていることに気づいていない様子でした。

 
・停電時の信号。車はこれ幸いとビュンビュン行き交います。

停電の時はもう復旧を待つしかありません。
大抵1時間以内に復旧しますが、その間冷蔵庫が止まるのはもちろん、着火には電気を使うため火もつけられません。
大家に連絡してもちょっと待つように言われるだけだと思います。
残念ながら停電に関しては対処法がありません。

ガスが点かない
お湯が出なくなったときはすぐに大家に連絡してください。
最悪の場合修理工を呼ぶことになるそうです。
私の場合、原因も復旧方法も結局不明で、大家が電話で上の階の人を呼び、メーターみたいなのを見てくれましたが解決には至らず。もちろん土足。
結局放置していたら復旧していました。復旧には1日かかりました。
夏だったのでなんとかなりましたが、1日水でシャワーを浴びることになりました。
待っていれば治る系なのかもしれませんが、冬だと文字通り死活問題なのですぐに大家に連絡しましょう。

水が出ない
これが一番起こりました。
水が出ない場合、大家にすぐ連絡してもいいんですが、まず近くの道路で水道工事をしていないか確認してください。
水道工事が行われている場合、住人に無断で付近の水道を止められるので、工事が終わるまで待つよりほかありません。
水道屋を呼ぶことになることは稀で、ほとんどの場合この水道工事が原因です。


・ある日、水が出ないので外の様子を見に行ったら、ここから噴水のように水が噴き出していました。数時間後に治りました。

トイレが詰まる
⇨トイレについての記事はこちら。
ある日、トイレが完全に流れなくなり死を覚悟しました。
完全に流れなくなった場合、すぐに大家に連絡してください。
これは結構重症なので、おそらく水道屋か何でも屋(鍛冶屋)を呼ぶことになります。この人たちももちろん土足です。
大家が偶然近くにいたのですぐに対処してくれましたが、復旧にまる1日かかりました。丸一日トイレは我慢!
これはもう業者に任せるより他ないので、私たちにできるのは紙を流しすぎないことと、洗面台(配管がつながっているため)に髪の毛を流さないことだけです。


・詰まったトイレ。大家が勝手に重曹とパイプ洗浄剤を入れたので濁っていますが、普通の水です。
左の歯ブラシは、上がってきた水の中にあった髪の毛を取り除くためのものですが、何を思ったのか気づいたら大家によって普通の歯ブラシ立てに置かれていました。留学期間中で怒った嫌なことランキング3位くらいには入る出来事でした。
費用は250ユーロのところ、負けてくれて(?)200ユーロ。これは大家持ちです。一旦立替えましたが。

ドアが開かない
夏のある日、玄関が開かなくなりました。
こっちのドアはほとんどがオートロックなので、外から中に入る時だけ鍵を使います。
外から鍵をさしてガチャっとやるんですが、うんともすんとも言わなくなり、思いっきり引っ張ったり押したりしてやっと入れました。
すぐ大家に連絡をすると、「おかしい」と言って大家の友人を寄越しました。その人は普通の主婦です。
当然なんの意味もなさず、現状報告だけ大家にしてくれて、その日からドアは開けっぱなしにしておけとの命令が。
間取り図の通り、アパートへの入口を開けないと玄関にはアクセスできませんが、上の階の人は毎日階段や廊下を通るわけです。
その日から修理工が来るまでの三日間、ドアは常に半開き。三日後やっと修理工が来てくれて、鍵を交換してドアの歪みを調整してくれました。
修理工はもちろん土足ですが、歪みを調整するときにその足でドアを思いっきりガンガン蹴るんです。もうびっくり。
結果直りましたが、初めての出来事の連続でかなり驚いた記憶があります。
費用は150ユーロ、もちろん大家持ちです。これも立替え。

 ドアはオートロック

上で少し触れましたが、フィレンツェで見た全ての玄関はオートロックでした。
日本のように外から鍵をかけることはしません。
なので当然締め出される可能性があります。
そんな時は大家に連絡しましょう。
最低限、携帯は絶対に持って出かけてください。ちょっとスーパーへ、と思って携帯を持たずに出かけて鍵も忘れていた、となると完全に詰みます。
大家の電話番号を記憶している人などこの世にいませんから、絶対に携帯と鍵は忘れないようにして出かけてください。
玄関や部屋のドアに「鍵」と書いた紙を貼っててもいいくらいです。

 光熱費

フィレンツェの光熱費は日本に比べてかなり高いようです。
単純に倍では効かないと思います。
日本で水道代なんて基本使用量を超えたことはありませんし、電気代も数千円ですが、フィレンツェでは節約しないと一万円は軽く超えます。

wifiを抜いて200ユーロ(ガス+水道+電気)が一つの基準らしく、現地で部屋を借りている友人もだいたい200ユーロと言っていました。
私の部屋は光熱費込みだったので特に何も気にせず日本と同じような使い方をしていたら、ある日大家に「電気も水道も使いすぎ!」と怒られました。
それ込みの家賃だとは思うんですが、私の大家はかなり神経質だったので、すぐ謝って気をつけるようにすると言うより他ありませんでした。
イタリアでは電気やガスを海外から買っているらしく、そのため電気が日本に比べて高く、水道代も大家曰く高いようです。
日本と同じように使うと倍じゃ効かない値段になってしまう可能性があるので、一人で部屋を借り、電気水道を契約した場合は注意しましょう。

 隣人について

イタリア全土がそうかはわかりませんが、騒音を日本のように気にする人はこの国にはいないのではないかと思うほど、隣や上の声は丸聞こえでした。
壁の構造上振動や声が伝わりやすいのかも。

だからといって直接言いに行ったりは決してしませんが、向こうもそうとは限りません。
私が深夜2時に誤ってまな板を落としてしまった時、隣の部屋からドンドンドンドンと壁を叩かれました。
ちなみに隣の部屋は結構な音量でテレビや音楽を流していて、番組や音楽のジャンルがわかるほどでした。
向こうがしないからこっちもしないとか、こっちもやってるから向こうもやっていいとかの感覚ではないようでした。
自分はやるけどされたら嫌、みたいな。これは道路でも同じ印象を受けました。割り込まれたら怒るけど自分は割り込む、的な。日本でもよく見ますけどね。
部屋や住人によるのはもちろんですが、友人の家の隣人もまぁ驚くような音量で音楽を聴いていました。

家賃事情の記事でも書いていますが、上に住むイタリア人家族の声と振動は笑ってしまうほどでした。
私は、日本でよく聞く「うるさいからと直接乗り込んでいくような人」は信じられないんですが、そんな私でも尋常じゃない振動と声だったので笑ってしまいました。

日本の友人と電話していても、誰かいるのかと思われるほど鮮明に外の声や聞こえます。これは壁や窓の構造のせいもあります。
さらに上の家族から、玄関より外に物を置くことがなぜか許されず、サンダルなどの私物を置くことは決して許されませんでした。
上の家族たちは下の図の黄色い部分の少し右側に荷物や水のペットボトル、買い物袋を置いたり、自転車を2台も置いているわけですが、私には濡れた傘でさえ部屋の中に入れろと言うのです。手すりの端などのどれだけ邪魔にならない位置にかけていてもダメでした。

この玄関の手前のわずかな段差(図の黄色部分)にサンダルを置くことが許されない理由ってなんなんでしょう。
もちろんいつもすぐ謝って従うわけですが、一回だけ、手が滑りドアが勢いよく閉まってしまったことがありました。(図のアパートへの出入口部分)すぐさま奥さんが出てきて、「ゆっくりね〜(怒)」とお叱りを受けました。(その家族は全員私の5倍くらいの勢いでドアを閉めますし、恐ろしい騒音とともに階段を駆け下ります。)
図でお分かりの通り、寝室1で寝ていると階段や廊下で起こっていることは全てわかるほど鮮明に聞こえます。寝室2に行くと隣の部屋からテレビと音楽が。

階段の折り返し部分に上の階へ行けないようにする鉄格子みたいな門があるんですが、これが金属でできていて、アニメ名探偵コナンのCMに行く時みたいな音がするんです。
しかもかなりでかい音な上にみんな思いっきり閉めること!
本当に憎しみを込めて閉めているのかというほどのガッシャーン!という大音量です。

私の場合、これらに悩まされていた!というわけでは全然なくて、むしろブログやエッセイのネタになってラッキーくらいに思っていたのでよかったんですが、独立アパートなら全ての煩わしさから解放されると言うわけではないことは頭に入れておきましょう。

 壁

上で少し書いた壁についてですが、日本とは壁の作りが全く違います。
イタリアは日本に比べて湿度が低いので、石造の建物でも十分に生活できます。
日本では壁の内部にはたくさんの建材を用いて仕上げはクロスを貼っていますが、こっちではコンクリに色を塗っているだけみたいなところがほとんどです。
濡れた手で触ると真っ白になるので注意しましょう。私の通っていたジムの壁もそうでした。

日本で誤って壁に穴を開けてしまった経験はありませんか?
そんな人でもフィレンツェなら大丈夫です。フィレンツェ歴史地区の建物はほぼ石造なので壁はガチガチです。
ハンマーでぶっ叩かない限りヒビすら入らないでしょう。

この頑丈な壁にはいくつかの欠点があります。
まず上で書いた音や振動が響きやすいことが挙げられます。これはこっちの声や音も丸聞こえなので注意したいですね。
そして、冬は氷のようにキンキンに冷たいこと。このせいで壁際がかなり冷えます。
そしてこの壁の冷たさと部屋の温度差が結露を生みます。さらにこの結露が壁にカビを発生させます。⇨カビの記事はこちら。
カビが生えたらすぐさま対処してください。対処が遅れると一気に爆増します。
換気しろというんですが、冬は寒くって窓なんか開けていたら凍え死にます。
そして窓を開けすぎるとバンバン蚊が入ってきます。12/28、窓を数時間開けていたんですが、その日だけで12匹蚊を殺しました。
尋常じゃないほど蚊がいるので、窓は開けっぱなしにしないようにしましょう。
開けるのは数分でいいらしく、しばらく5分くらい開けたりしていたんですが、それでも結露はものすごいです。
特に料理をするともう一気に窓がビシャビシャになります。すぐに拭きましょう。

 キッチンについて

イタリアはオーブン社会なので、電子レンジがない事が多いです。
決して電子レンジが高級品というわけではないんですが、話を聞いていると、どうも体に悪いと思われている節がありました。
ちょっと温めたい時なんかはとても不便ですが、せっかくなのでこの国ならではのオーブン料理などにも挑戦してみてください。⇨自炊のススメ
となると、このオーブン、コンロを使いこなす必要があるわけです。
日本である程度料理していた人ならすぐに使いこなせる程度の違いしかありませんが、一応どんな感じか説明を書いておこうと思います。

コンロ

・4つ口がメジャーなようです。友人の部屋も内見に行った部屋も4つ口でした。図の通り、大中小で分かれています。

コンロとオーブンが一体になっているものしかなくて、ここも日本と違うところですね。
レバーというか着火の捻るところですが、日本とは逆回しです。

 
・左回り。グッと押し込んで火花を起こして着火させます。

上で書きましたが、着火には電気が必要なので停電中は火がつきません。ガスは出るので、停電中は捻らないように。
図のように左に90度押し回すと最大の火力になります。グッと180度まで行くと最小火力、それ以上行くとさらに小さくなることもありますが、消えてしまうこともあります。

オーブン

・オーブン。コンロの真下にあります。私の部屋は変な構造なので角に押し込まれています。

レバーは左から、
・タイマー
・温度
・モード
になります。

温度
タイマーは間違いようがないので省きますが、温度について。
90度の上の水マークは一応掃除用らしいです。
掃除用と言われても使い方がわからないので使用することはありませんでした。

モード
何やらたくさんありますが、よくわからない場合右上の「こ」の字のマークに設定してください。
これは上と下からじわじわ温めるものなので、しっかり焼きたい時にベストです。
つまり、よほど大きな肉や大量の芋を焼く時など以外はこれにしておけば間違いありません。
ケーキやパンもこれで焼いてました。個人的にはピザもこれでいいです。
⇨オーブンの説明についてはこちら。

ちょっと温めたい時
ちょっとだけ温めたい時は静動モードで低めの温度にして、5分くらい温めましょう。
私の部屋のオーブンは最低表記が90度だったので、140度くらいで5分温めていました。そこそこしっかり暖まるので、冷えた鶏肉なんかもまぁなんとか食べれる温度までは上がります。

注意点
モードの設定をまず初めにしておきましょう。
モードを設定し忘れていると、「温度を設定して、時間もバッチリ!」でも時間が経っても焼けていない、という悲しいことが起きます。
電気がついてたら基本的にOKです。
きちんと設定できていると、ジジジ…とか、ファンのゴウンゴウンという音がします。やけに静かだな、と思ったら確認してみてください。

 シャワーについて


・うちのシャワールーム。

フィレンツェではお風呂に入ることはまずできないので、シャワーだけで済ませることになります。
シャワーも私の見た限りではどこも大差なくて、大抵トイレのスペースにシャワーのスペースもあります。
写真で伝わらないかもしれませんが、密閉性が非常に低くて、シャワーの角度によってはじゃんじゃん漏れます。
トイレ同様排水溝が弱いので髪の毛がつまらないようにしましょう。

換気扇がなく、代わりに窓があります。
この窓から向かいの人と目が合います。
冬場はこの窓のせいでめちゃくちゃ寒いんですが、大家はこの窓を絶対に閉めるなと言ってきます。
当然冬場はほとんど閉めていましたが、やはり窓枠にカビは発生します。


・変なシャワー。日本よりもお湯が熱い印象です。

 暖房について

フィレンツェの家にはほとんどクーラーがありませんが、暖房はなぜかほとんどの家や部屋にあります。
日本は昔から夏の過ごし方をメインに家を作ってきたので、この辺りの考え方が違うのは面白いんですが、この暖房器具も私から見るとまぁ欠陥を抱えています。

  
・イタリアで主流の暖房器具。ちょっと古いタイプですが、ほぼ似たような形です。

この謎の装置が暖房なんですが、仕組みは至ってシンプルです。
これは金属でできてるんですが、この蛇腹みたいなのが暖かくなって、部屋を温める、というものです。
と聞くと、めっちゃくちゃ熱いのか!?と思ってビビってたんですが、普通に触れるくらいの温度です。
となると、教室なんて全然暖まらないんです。これが壁中に埋め込まれていたり、四方を囲っていたら話は別ですが、温風が出ているわけでも、超高温になるわけでもなく、ただほんのり暖かい金属の塊が隅っこにおいてあるだけ。
実際11月末くらいから教室は震えるほど寒く、その頃になれば毎日暖房はついているんですが、それでも全然教室の隅の方はもう寒いこと寒いこと。

確かに、ついていない時よりは多少温いんですが、それでもかなり近づかないとついているのかも気づけないほど効果を感じにくいです。でも正直暖房がない教室とそんなに寒さは変わりませんでした。
この暖房で暖かいと感じられるのはよほど狭い部屋か、これの真ん前だけです。先生はよくこれにもたれかかって授業していて、自分は十分暖かいからか、「換気のために窓を開けましょうか」なんて言うんです。そりゃあんたらはそんな温いところにいるからそんな事が言えるんでしょうけど、こっちは窓なんて開けられたら手袋しないとペンが持てないほどなんですよ。

 
・ジムの更衣室の暖房。ここのはちょっとアチっとなるくらい温度も高くて部屋も狭いので、1mくらい近づくと「ん?暖房がついてる?」と気付けます。外から入ってきたばかりだとちょっと暖かいです。

そして、この暖房は学校のような大きな建物だと、全体の暖房を管理する中央管理装置のようなものがあって、オートマチックに暖房がついて消えるという仕組みになっているそうです。なので温度も変えられないし、時間も決められています。
アパートなどでは、自分でつける時間や温度を決めるパネルがついていることもあって、ある程度自由に決められます。
イタリアではそもそも法律で地域によって暖房をつけられる時間や日が決まっているそうで、この辺りにも国の違いが出ていますね。
私の部屋は自分で管理する装置がついていましたが、大家から暖房を使いすぎないように(月の暖房費150ユーロ以内にしろとのこと。この国では高いのか安いのか)と散々言われていてうんざりしていたのと、部屋の中はそこまで寒くなかった(逆に夏はめっちゃくちゃ暑かったですが)のもあって、結局一回も暖房は使いませんでした。


・ガス給湯器。「触るな!」と書いてますね。


・暖房のコントローラー。時計の形になっていて、何時から何時まで、というふうに設定したらあとは自動で付いて消えます。

大家の言う150ユーロが高いのか安いのかは分かりませんが、1ヶ月の暖房費が二万円を超えるなんて考えられますか?
初め、家賃に加えてこれだけ払えと言ってきたんです。約9万円(光熱費込みですが)の家賃に2万円追加なんて冗談じゃないので、「じゃあ出て行きます」というと、「じゃあ150ユーロまで私が払うから、一日4時間までにして」と言われました。
私の部屋はそこまで寒くなかったのと、後からやいやい家割れるのが嫌だったので結局一回もつけなかったんですが、イタリア人にとってこの暖房は冬には必ずつけるものらしいです。
というかオーブンで1時間くらい調理をしたら暖房はつけなくていいくらい部屋が温まりました。
大家が決めたルールで暖房を自由につけられない部屋も多くあるそうで、そういう場合、オーブンを温めて暖を取ったという話を聞きました。
この辺りも入居の時にしっかり話を詰めておきたいですね。暖房はつけていいかどうか、別料金の場合、月にどのくらい払うことになるか、など。