フィレンツェでジムに行く

フィレンツェっ子の憩いの場、ジムについて。
学校から帰ったら宿題以外にやることがない、という人はぜひジムに行きましょう。
ジムではトレーニングだけでなく、生のイタリア語を体験することができます。


 Florence Fitness

フィレンツェには意外と多くのフィットネスジムがあります。
サプリメント専門店もいくつかあったりと、運動と健康に対して関心が高いのかもしれません。

おすすめのジムですが、「Florence Fitness」で間違いないと思います。

私もここに一年間通いました。

ここの最大の特徴は、イタリアっぽさすら超えたラフさにあります。
他のジムでは納税者番号パスポートなどの面倒な書類が必要ですが、ここではその全てが必要ありません。
電話番号とフルネームを書いて、お金を払えば全ての手続きは完了です。契約書すら存在しません。
逆にいうと、電話番号だけは必要です。

登録は簡単
初めて来たことを伝えて、見学したいことを伝えましょう。
スタッフは英語も話せます。
見学して、気に入ったら何ヶ月購入するかを伝えて、支払いを済ませればその瞬間から使用できます。
※費用は払いきりで、何ヶ月通うかによるので、後で説明します。

 設備

設備は意外と充実しています。イタリアらしく全てのマシンがテクノジム製のものです。私の滞在中に一度だけ新しくヘックスバーが導入されました。
小さいジムという印象ですが、必要最低限は揃っています。
ちなみに混む時間帯は18:00-19:30です。もう文字通り満員です。20:00を過ぎるとすっからかんで、雨が降ったりすると人が減ります。


フロアごとに解説します。

1階
一階にはまず、受付、更衣室(トイレ、シャワーあり)、スタッフ専用部屋、自販機があります。
ロッカーは鍵(錠前)を持って行かないといけないので、ダイヤルロックなどを持っていきましょう。
閉めないと盗まれる!ということはないと思いますが、使用中というのを示すことができるので鍵は閉めた方がいいですね。

有酸素のエリア:トレッドミル、エアロバイク、ハンドルを持って歩いたり走ったりするマシン、無限に階段が出てくるマシン、スキルロウ、腕でぐるぐる回すマシン
・この左の鏡の裏にトレッドミルが並んでいます。

地下
半年通って初めて地下の存在に気づきました。
一番端のエアロバイクの奥にあります。
3人くらい(頑張ったら5人)が動ける広さのスペースがあります。一応コンセントもあります。
設備:バランスボール、ケトルベル、マット、懸垂するハンドル

・ここが入り口です。初めて見た時はスタッフオンリーかと思いましたが、普通にみんな出入りしていたので覗いてみると地下があって驚きました。もちろん初回の説明はありませんでした。


・奥は天井がかなり低く、一人分のスペースです。手前もそこまで広くないですが、何をするにも十分なスペースです。


・かなり心配な付け方の懸垂機。女性は心配ないと思います。加重しての懸垂はお勧めできません。

2階
2階が広さ的にもメインのエリアです。
フロアが4つに分かれています。
足のマシンフロア:レッグカール、レッグエクステンション、レッグプレス、お尻のマシン2種、内転筋のマシン、ケーブルマシン小、腹筋のベンチ(可動式)、普通の腹筋のベンチ、背筋やハムのベンチ


・比較的女性が多いフロアです。狭いですが問題は特になかったです。

上半身のマシンフロア:ラットプルマシン、ステーション各種(腹筋、ケーブル2種)、ローイング、ペックフライ、上から引くマシン(背中)、ショルダープレス、懸垂機(ディップスとレッグレイズができるタイプ)
 

 

 
・コの字の足でサポートするレバーを踏んだ後、ゆっくり戻す人がこの国にはいないのでたまにすごい音がしています。
変なところにダンベルが置き去りにされていますね。

多目的フロア:重い棒やマット、ステップ台がある広いフローリングのフロアです。各種アクティビティやエクササイズが毎日行われています。

・奥が暗いのはいつものことで、大体人がいないフロアは消灯されていてかなり暗いです。
エクササイズがない時間帯は、みんなここでストレッチやダンベルを使った運動をしています。

フリーウェイトのエリア:ベンチ台、インクラインのベンチ台、プリーチャー台、ベンチ2台、スミスマシン、ケーブルマシン、ダンベル32キロまで、EZバー、ヘックスバー、トライセプスバー、12キロの短いバー

このフォッシ通りで一番むさ苦しいエリアです。夏は地獄でした。
女性も結構臆することなくここでトレーニングしていました。重りを戻さなかったり、ダンベルをバラバラに並べるのは外国あるあるです。

 費用

費用ですが、月額いくら、という感じではなく、期間で購入するタイプです。
期間が長くなればなるほど安くなっていきます。

1回 15ユーロ
1ヶ月 90ユーロ
2ヶ月 145ユーロ
3ヶ月 185ユーロ
6ヶ月 360ユーロ
8ヶ月 440ユーロ

という具合です。
飛び飛びの中途半端なリストで申し訳ないんですが、どこにも書いていなくて聞かないとわからないので聞いた部分だけになってしまいました。
私は初めの1ヶ月はコロナの関係で国中のジムが営業できなかったため、次の月から通い始めました。
初めは大金を失うことにビビっていたのと、エニタイムがフィレンツェにできるとかいう情報を聞いていたのでお試し感覚で3ヶ月だけにしましたが、結局3ヶ月後に残りの滞在期間8ヶ月分を追加購入しました。初めから11ヶ月にすればよかったです。
1ヶ月だけだとかなり高いですが、3ヶ月だと一月60ユーロくらいなので現実的な金額ですね。

お金を払うと、その場で会員証を作ってくれます。
会員証には名前と期限が書かれています。
この会員証を入館時にスタッフに見せるわけですが、同じスタッフなら次回以降見せる必要はありません。多分持っていかなくてもいいです。
一応入館時に名前と時間をメモっているっぽいです。
スタッフは、オーナーっぽい人、若いTHEイタリア人みたいな兄ちゃん、美人女性スタッフの三名だけでした。あとインストラクターが数名です。インストラクターも普通に更衣室を使うので、更衣室で全裸のインストラクターと遭遇することもあります。
正直仕事的にはめっちゃ楽そうで、接客してない時はずっと電話したりスマホを見ていました。
何回かスタッフが入れ替わっていたので、新しいスタッフが来ると会員証を見せて顔を覚えてもらわないといけません。


・iphoneにくっつけるウォレットを使っていたのでそこに入れていました。全スタッフに名前を覚えてもらったら持ってなくてもいいと思います。

 休館日

日曜はお休みですが、注意したいのは夏と冬です。
まず、イタリアの8月には、私たちにとっては厄介な「Ferragosto」が存在します。
スーパーや観光のメインの施設(美術館など)、交通機関を除いたほぼ全ての商店が1週間から1ヶ月休業します。
この期間はもちろんジムも閉まります。学校は開いてます。
さらについでみたいな感じで営業時間が大幅に短縮されます。
具体的には、8月の第二週くらいから二週間休館になり、そこから9月まで昼からの営業になり、1時間閉館が早まっていました。

冬の休みについては、1月の第一週は基本的にやっていないと思います。
2022年は1/10からオープンしていました。

 ジムはトレーニングだけにあらず

ジム(Florence Fitnessしか知りませんが)に行くとすぐに、イタリア人だけでなく世界各国の人が来ていることに気がつくと思います。
コロナの影響のせいか、日本人は一年を通して一回も遭遇しませんでしたが、アジアからアメリカ、中東っぽい人、イタリア以外のヨーロッパ諸国、さまざまな人がいます。
ジムに来ている以上、運動が好きだったり必要だと感じているわけですから、この時点で一つ共通項ができています。
そのため、ジムにいれば彼らと自然にコミュニケーションが取れるわけです。私はここに値段以上の価値があると思っています。
もちろんイタリア人(というかフィレンツェ人)と仲良くなれば本物のイタリア語の会話が体験できますし、他の外国人と仲良くなれば、彼らの話すイタリア語や英語にも触れることができます。
個人的には会話力を伸ばせるかどうかは、こうした学校外での実践にかかっていると思います。
正直会話の授業は「これ会話じゃないな」というような内容なことも多く(先生の質問に答えるだけ等)、話す練習になっていないこともしばしばです。⇨語学学校の授業についてはこちら。
もちろん会話相手を作ることが全てではありませんが、ジムに友達ができるのはとてもいいことだと思っています。

自分から話しかけることができないという人でも問題ありません。
コロナの影響で日本人が少なく珍しかったこともありますが、通っていれば絶対に誰かしらが向こうから声をかけてきます。
話しかけてくる時点でアジア人に対する差別意識はほぼないと思うので、フィレンツェにきた理由や勉強していることなどを話してみましょう。
私が知り合ったイタリア人は何故か私の名前をスタッフに聞いていたらしく、名乗る前にフルネームを知られていました。
そこからYamamoto Nutrition(イタリアのサプリメーカー)と名前が一緒だな、ということでよく話すようになりました。
いつまで経っても声をかけてもらえない人は自分から話しかけましょう。とりあえず入館時に全員に笑顔でチャオチャオ言っていれば悪い印象は与えないと思います。

あとこれも醍醐味の一つですが、何回かクラスメイトと一緒にジムに行ったりして楽しかったことを覚えています。ジムで偶然遭遇することもありました。
そこからまた会話のネタができたり、授業では見られない一面が見れたり、文字通りいいこと尽くしです。

上でも触れましたが、話しかけるのが苦手な人こそジムはいい環境です。
しばしば、「この機材を使いたいけどまだ使ってるのかな」みたいな状況に遭遇します。ベンチにスマホだけ置かれていたり。
そう言う時はすぐに話しかけましょう。「使ってもいい?」と聞けば、誰一人嫌な顔をせず「どうぞ!」、とか、「ごめんあと○セットやる!」みたいに答えてくれます。
こういうカラッとした性格はほんと助かりますよね。日本だと言い方にかなり気を遣ったりしましたが、こっちだと深く考えなくていいぶん簡単です。
どんどん話しかけましょう。向こうもどんどん話しかけてきます。明らかに使ってるのに使ってるかと聞かれることもあるので、「ごめんまだ使う」とか断る練習にもなります。
注意点として、「Non〜?」の質問への答え方が日本と逆になる点です。いわゆる否定疑問文というやつですが、「これ、使ってない?」とか「これ、あなたのじゃない?」とか急に話しかけられると「うん(si)、僕のじゃないよ」みたいに答えてしまって、答えはイエスなのに態度はノーな訳ですから、よく「Si o No?」と聞き返されました。

 日本との違い

日本との意識の違い


日本のジムとは全てが異なる点に注意してください。
マナーや細かいルール、習慣はこのジムには存在しないと考えていいです。
もちろんジムのルールはあるんですが、「重りをエリアの外に持ち出さない(みんな持ち出してる)」、「窓から身を乗り出さない」、「重りや器具は元の位置に戻す(誰もきちんと戻さない)」、「禁煙」、「壁を蹴らない」というあってないような当たり前のものだけです。これ普通に流しがちですが、「禁煙」って書かないと吸う人がいるってことですからね。
日本みたいにルールや規則にはない(今はなんでも明文化されていますが)けど、「これはしないほうがいいよね」みたいなのはほぼない印象を受けました。
そもそも土足のまま入ってきて普通に走ったりトレーニングしています。
ダンベルは投げる、ケーブルマシンも爆音で落とす、バーベルは投げる、ウェイトは戻さない(スミスマシンにベンチを置いて5kgプレートを4枚ずつつけて放置して帰った人もいました。20kgプレートはもちろんあります)、ベンチの頭の方に足(土足っぽい)を乗せる、訳のわからない場所で謎のトレーニングを始める、歌う、掃除しない、など枚挙に暇がありません。
ただ、この国が日本と違うところは、これらのことを誰も気にしてなくて、みんな笑顔なんです。
この記事でもネガティブなことをよく書いていますが、この国民性(もちろんジムにいるのはイタリア人だけではないですが)に助けられることもありました。
150kgくらいのバーベルをドッカーンと投げ捨てても誰一人嫌な顔をしない環境でのトレーニングは、逆に開放的でもありました。
日本ではあり得ないことも、この国や海外では日常なので、レアな体験として受け入れつつ静かにダンベルを戻しましょう。

機材について
機材の点検はおそらく全くやっていないと思うので、調子が悪いとか、そもそも壊れているとかが結構ありました。
基本的に問題が起きてからの対処なので、故障があるとそのマシンはしばらくそのまま放置されます。

一度、ケーブルマシンのピンを10kgに刺して、動くかどうか確認するためにグッと引っ張ったらそのままバツッとケーブルが切れたことがありました。
普通ケーブルマシンのケーブルって切れます?


・切れたケーブル。ハンドルはいつも散乱しています。

10kgで切れるケーブルなんて流石にないと思うので金属疲労だと思いますが、おそらくその前に亀裂やほつれがあったはずです。
よくみると他のケーブルもケーシングの根元全てにヒビがありました。
それでもみんな気にせず壊れてない片方だけでトレーニングしていました。
スタッフも特に私に何も言わず、「あら〜、仕方ないね〜」という感じでした。
私が使う時に壊れたので、当然私が壊した感じなので気まずかったんですが、誰も私の方は見ていませんでした。
皆さんもこういうある種さっぱりとした国民性に助けられることがあるはずです。
が、機材の故障はかなり多いので、使う前に必ず一度低重量で試してみるようにしてください。

 まとめ

・ジムに行くなら「Florence Fitness」
値段や受付のスタッフ、設備の質を考えてもここでまず間違いありません。

・設備は必要十分
ダンベルが32キロまでしかないことや、トライセプスロープがボロッボロだったりする点を除けば概ね問題ないマシンのラインナップです。
普通に運動したい人はまず事足りるでしょう。

・初めから長期間の購入がおすすめ
もしかしたらジムを変えるかも、と思っていても、どうせそんな面倒なことは数ヶ月後には億劫になっているので、初めから最大期間を購入して経費を削減しましょう。

・ほぼ100%話しかけられる
イタリア人以外は話しかけてこないかもしれませんが、イタリア人はまず間違いなく話しかけてきます。
日本食が大人気なので結構日本について詳しい人もいました。中には日本語で挨拶ができるという人もいました。「ちょっと待って」というフレーズは何故か結構な人が知っていました。謎です。

・挨拶は世界共通
まずスタッフに挨拶をしましょう。スタッフに挨拶をしない場合、多分相当おかしな空気になると思います。
日本ではスタッフは赤の他人ですから、会釈しつつ「〜ッス」くらいの挨拶かもしれませんが、ここではしっかり笑顔で挨拶しましょう。
知らない人でもなんとなくよく顔を合わせるな、という人ができたら挨拶しましょう。ciaoで問題ありません。とにかく笑顔を忘れず!