留学エージェントの闇

交換留学生などではなく、個人で留学する場合、留学エージェントを利用するか、個人で全て手続きを行うかの2パターンがあると思います。
私は初めての留学で右も左も分からず、まんまと留学エージェントを利用しましたが、かなり思うところがありましたので、はっきり言ってお勧めはしたくありません。
かと言って、「じゃあ個人でやりましょう。」といえるほど手続きは単純ではないため、結局多くの人がエージェントを利用することになります。
ここにエージェント企業のいやらしさがあるわけです。
嫌だからといってエージェントを利用しないと難易度が跳ね上がるため、初めての方は特にエージェントを利用せざるを得ないという構図になっています。
なので、エージェントを利用する場合に気をつけること、事前に理解しておくべきポイントを記載します。
このブログを読んで基礎知識をつけて、うまくエージェントを利用して少しでもストレスのないように留学準備を進めていただければと思います。
というか使わないでいいレベルまで知識を得ていただければと思っています。


    エージェントの選び方

私は次に留学に行くとしたら死んでも同じエージェントは利用しませんが、このエージェント選びは非常に重要になってきます。
結論から言うと、私はエージェント選びに失敗しました。
さらに、非常に残念なことですが、エージェントに過度な期待や信頼を寄せることは間違いです。
エージェントは安心感を与えるために、心強い言葉や過去の実績を見せて、こちらの不安を取り除こうとはしてくれますが、実際何をしてくれたかというと、Google翻訳を使って英語でメールができれば誰にでもできるようなことでした。(後述)
私は当時、「なんでも聞いてください!」と言うエージェントの言葉を鵜呑みにして、「エージェントだからなんでも知っているんだ」と思ってバシバシ質問していましたが、全くそんなことはなくて、むしろ個人のブログやTwitter、YouTubeで素人が配信している情報の方が遥かに有益でした。さらに、質問しすぎるとキレられます。(後述)

私がエージェントを選ぶ際に判断材料にしたポイントは、「近くでセミナーがあること」や、「ホームページがこ綺麗」などというあまり留学自体に関係のない部分だったため、失敗につながったのだと思います。
「イタリア留学 エージェント」で検索したことのある方ならわかると思いますが、カナダやオーストラリアなどに比べるとあまりにも少ないですよね。
私はその少ない中から少しでも安心感を得ようと、「ホームページの綺麗さ」などに重きを置いてしまいました。

準備期間の間、長ければ一年以上そのエージェントとやりとりするわけですから、担当者がポンコツだと、その準備期間ずっと尋常ではないストレスを感じることになります。
その人と馬が合えば問題はないんですが、私の担当者はその企業の代表(つまり社長)ということで期待していたのですが、代表ゆえに監視する役目の人がいないため、まぁ〜問題が多く、質問しても要領を得ず、最終的に「自分で調べてください」と言われる始末でした。ちなみに、全ての費用を支払った後での話です。
同じ学校の日本人数名に話を聞くと、ほとんどの人が私の利用したエージェントを経由して留学に来ていました。
彼らからは特に不満などは聞かなかったので、単に私がどこかのタイミングで嫌われただけということなんだと思っていますが、それ企業としてどうなんでしょう。

では何を重視すべきかというと、
無料を餌にしていない。(ただし、有料だから良いと言うわけでもない)
スタッフが現地在住などで現地の地理や情勢に詳しい。
他の留学者の体験談や、エージェント本人の話に具体性がある。
料金体系(あれば)に透明性がある。
面倒でもいくつかのエージェントで相見積もりする。
現地のサポートの有無。
の6点です。順番に解説していきます。


 無料を餌にしていない。

これは、かなりの数の海外留学エージェント(オーストラリアとかカナダとか)が謳っている「手数料無料!」と言うものについてです。
断言しますが、これは嘘です。
なぜこの誇大広告がまかり通っているのかわかりませんが、ロジックとしては、「学校からマージン(コミッション)を受け取っているからお客様からはお金を受け取っていません。」と言うものです。
ん?と思いませんか?
よく考えなくても分かりますが、例えば50万円を学費として支払うとしますよね。
そこからエージェントは50万円のうち何割かを報酬として受け取っているわけです。
この何割かですが、実質これがエージェントに払っている手数料になるわけです。言い方を変えただけでお金は結局エージェントの元に入ります。

そのマージンっていくらだと思いますか?
実は、マージンの金額に明確な決まりはないんです。
例えばエージェントに支払う金額が50万円の場合、学校にもよりますが10〜30%くらいマージンとしてエージェントの懐に入ります。
実際に私がエージェントに振り込んだ金額も50万円弱でしたが、学校から送られてきた領収書に記載されている金額は約35万円でした。マージンは約30%前後と推測できます。

こちらがエージェントから送られてきた請求書の一部です。

4000ユーロとありますね。

実際に学校が送ってきている領収書の一部がこちらです。

こちらには2750ユーロとありますね。
1300ユーロはどこに行ったんでしょう。

 

私の場合、無料に惹かれて契約したわけではありませんが、「〇〇万円いただきますが、こんなサポートを約束します。」みたいに書いてくれている方が、今となっては信頼できたのかなと思います。
しかし有料だからといって良いわけではないので、その他の点もチェックしつつ判断してください。


 スタッフが現地在住などで現地の地理や情勢に詳しい。

これを初めて留学をする方に見極めろというのは無理な話ですが、逆の立場で考えると、現地にスタッフを持っている場合、企業として大きな強みになりますよね。
つまりそれをホームページに大きく書いているはずです。
そういうエージェントを優先してチェックしましょう。もちろん、それだけでエージェントを決定してはいけませんが。
注意したいのは、提携学校に日本人スタッフがいる場合はノーカンだという点です。
提携学校とは名ばかりで、お互い(学校とエージェント)何一つ情報共有がなされていませんので、名前すら知らないことがほとんどでしょう。⇨学校の日本人スタッフについてはこちら。
なので、「学校には日本人スタッフがいるから安心!」みたいに書かれていても、それはただのイタリアに住んでいる日本人ですので、留学のサポートとは全く関係ありません。

強みのないエージェントほど、数を推したり、「スタッフ全員が留学経験者です!」、「手数料無料!」、「返信が早い!」などと言うペラペラの文言で推しています。
担当者が日本在住の場合、その人が留学経験者だとしても、現在の現地の状況が明確にわかっているわけではありません。
いくら学校とのコネクションがあり、現地に多くの留学生を送っていたとしても、現地にスタッフがいないエージェント企業は新鮮な情報を知りません。
実際に私も、「私もここの卒業生なので安心ですよ!」と言われ「へえ〜、なら安心かな」などとと思ってしまいましたが、よく考えてください。それ、何年前の話ですか?
世界中がコロナの影響で変わってしまった今と、ノーマスクで街中をうろつけた時代とでは全く違います。日本在住のエージェントは、過去の情報と、留学生からの情報だけしか持っていません。

私の利用したエージェントの提供する情報は、主に現地にいる留学生から聞いたものであったり、問題の解決に至らない曖昧なものがほとんどでした。
一例としては、ワクチンやグリーンパスについて「グリーンパスを取得していくことをお勧めします。」とだけ書いてあって、どこで、どうやって、最近出発した人はどうしたのか、などが一切書かれていません。
なぜなら、知らないからです。
それを仕事にしておきながら、資料の一つも用意していないのです。
そしてそれについて質問すると嫌われるという最悪なスパイラルに陥っていました。

結局、エージェントとしては客を送り出してしまえばどうにかなる(留学生自身がどうにかしなければならない)ため、その人がわからないポイント(後述の自己宣誓書についてなど)に気づけていないと、現地で自分の力だけで解決しないといけなくなります。(特別な契約でない限り、エージェントとの契約は出国時に満了となることが多いです。)

コロナ関連の政府からの重要な情報は日本にいながらでは得にくいですよね。これは、エージェントも同じです。
私が自己宣誓書フォーマットについて担当者に質問のメールをすると、いきなり大使館のURLだけメールで送ってこられ、自分で探してくださいと言われました。
見つけた書類が当時できたばかりのフォーマットで、訳のわからない欄があまりに多く、再度担当者に連絡しました。(なんでも聞いてくださいって言われてますからね!)

実際に私が自己宣誓書についてエージェントに質問したときの画像(アドレスや個人名などは隠しています)がこちらです。
※この時はまだうっすら、「エージェントだったら知っているんだろうな」と思っていました。
あまりに謎な書類だったので、PDFで画像を作り担当者に送りました。
左が大使館のホームページに掲載されている資料、右の文が私の質問です。実際にこの画像を送信しました。
※現在は何度も改定され、オンラインで完結するシステムになっています。

誰がこんなヒントなし空欄だらけの書類を書けるんでしょうか。しかも、この書類を携帯していないと罰則がある書類ですよ。
特に、「上記に関し、○○○○○○○○○○○○○○○○○○であることを宣誓する。」の欄なんて、東大クイズ王でも無理です。
大使館のホームページにも記入例はありませんでしたし、結局エージェントもこの書類について把握していませんでした。
そして回答がこちら。

「上記に関し、外出をしている’であることを宣誓する。」ってなんやねん。「’」⇦これなんやねん。
もうメールの回答も若干キレ気味なんですが、「州知事の措置で許可されている〜」、「処罰を承知している。」の欄に関して、内容が一歳わからないまま承知しましたとサインしても良いでしょ、と言っているわけです。罰則まであるのにどんなルールを守らないといけないかわからないままサインしていいわけないですよね。
「細かいなあ〜」
と思われるかもしれませんが、海外で外国人として生活させてもらう以上、その国の法律や決まりについてしっかり下調べをする義務があると私は考えています。

ちょっとこれではわからない部分が多かったので、再度質問して、その回答がこちら。(アドレスや私以外の個人名は隠しています)

怒っちゃいました。以後案内しないって、問題あるでしょう。
誓って私はメールでタメ口や失礼な言葉使いはしていませんし、この次のメールでも私が謝っています。「質問が多くご迷惑おかけしました。」と。
これ、なんでキレてるかというと結局、知らないからなんです。
知っていることは饒舌に語ってくれますが、いざ知らないことを質問されると、どうも「分かりません。」とは言えないらしく、サポートする業務をほっぽりだしてしまうのがこの企業の代表のようです。
残念ながらこの件で完全に嫌われてしまったようで、以降ずっとこんな調子です。
この後これに関して触れられることはなく、黙殺されてしまいましたが、この件を機にこの担当者、エージェントに頼ることは一歳やめ、質問があれば本当に在ローマ大使館や大使館、領事館に連絡するようになりました。⇨大使館、領事館についてはこちら

話を戻しますが、これが現地スタッフであればどうでしょう。
現地の街の警察の雰囲気や、実際に生活している人はどうしているのか、そのエージェント自身が現地に住んでいればこの宣誓書を必要としているわけですから、リアルな情報が手に入りますよね。
実際にこの宣誓書についてはTwitterにて、現地の人の書き込みを何件か読んで解決しました。

こう言った点からも、エージェントを利用する際は絶対に現地スタッフがいる企業を選んでください。


 他の留学者の体験談や、エージェント本人の話に具体性がある。

ここはセミナーでも見抜くことができるポイントです。
エージェントのホームページの体験談(生活費など)は参考程度にしましょう。⇨本当の留学費用についてはこちら。
私の場合もうエージェントは使う気はありませんし、使っても現地スタッフがいない企業は選択肢に入りませんが、セミナーに行った際にはどしどし質問してみましょう。
実際に行きたい学校がある方は実際どんな雰囲気か聞きたいでしょうし、私のように30歳で留学する人は他にいるのか、現地の食材はいくらくらいなのか、住んでいないとわからない情報は積極的に質問すべきです。

私がセミナーで質問したのは、保険や費用、学校についてなどオーソドックスなことについてです。
これに加え、生活をイメージしたかったので、「フィレンツェでトマトはいくらだったか」濯用洗剤はどんなものを使ってた「食費はいくらだったか」など生活した人にしかわからないことを雑談っぽく聞いてみました。
回答は、「安いですよ〜」、「たくさんありますからね〜」、「普通の食事だったら日本と変わらないですね。」というもの。
まあ雑談半分だったので仕方ない部分もありますが、日本在住のエージェントはこんなもんです。
結局留学経験者で英語が堪能だとしても、留学に行ったのは10年以上前なんてことはザラにあります。
いかにそれが仕事だとしても、遥か10年前のことなんか忘れてしまっているわけです。
この普通の食事というのも、私とその担当者(女性)では全く違うので仕方ないですが、毎月どれくらい使っていたか覚えてないようでした。

100歩譲って、エージェント本人は忘れてしまったとして、じゃあ今行っている人や、帰ってきた人の体験談ではどうでしょうか?
私が利用したエージェントのホームページに掲載されている体験談は、はっきり言ってなんの役にも立たないという印象でした。
帰国者に、予算について質問している項目がありましたが、どれも具体性を欠いたものばかりでした。
実際に自分のお金で行っていない学生さんの自己申告の予算は、申し訳ないですが参考にしないほうがいいです。(学生さんは悪くないですよ)
何より、留学前後の予算について書いていないので全く実用的ではありません。
とはいえ、いかに無意味でも体験談はできるだけ読んでください。どこかに何かしらのヒントがある場合もあるので、そういう意味では意味のある情報と言えます。

以上のように、体験談については具体的かつ嘘っぽくないものが掲載されているところを選んでください。
さらに、エージェント自身が体験談を具体的に話せることも重要です。というかエージェントは現地在住のところを選んで欲しいです。


 料金体系(あれば)に透明性がある。+ 面倒でもいくつかのエージェントで相見積もりする。

ここでの料金というのは、エージェントを利用する際のサポート料や手数料についてです。
この料金、ほとんどのエージェントが無料を謳っていますよね。
冒頭で述べたように、これは本当の意味での無料ではないということを念頭にエージェントの話を聞いてください。
私の利用したエージェントは無料を謳っていましたが、学費から10万円以上ピンハネした挙句あの態度ですから、本当に無料だと思い込んでいるのかもしれません。
エージェントのホームページによれば、学校が私たちに行えないサポート(学校への連絡、ビザの申請、住居の斡旋)を代理する手数料、としてマージンを受け取っているようです。
それぞれの記事でも説明しますが、ビザの申請は何一つやってくれないので、全て自分でやることになります。
必要な書類を教えてくれはするのですが、これは領事館のホームページに載っています。(どっちもかなり不完全ですが)⇨ビザ申請の必要書類についてはこちら
ここでも私は、先程の逆ギレの件があったので自分で領事館に質問したりしていました。
住居の斡旋についても、担当者からのメールに学校が間に入るため家賃が高い。と、学校が斡旋するというようなことが書いてありました。

サポート料〇〇円、こういうサービスは追加〇〇円。のようにわかりやすく記載されていて、かつあれこれ追加されて費用がかさまなさそうなことが重要です。
この辺りは実際見積もりを立ててもらう段階ではっきりしますが、面倒でも相見積もりしましょう。
私は面倒がって相見積もりや、複数に相談することを怠りました。ここが最大のミスでした。
イタリア留学はエージェントが極端に少ないので、そんなに手間ではないはずです。いくつか書類請求しましょう。
英語留学の方はもっと選択肢が増えるため、エージェント選びの難易度も上がるかと思いますが、しっかり相見積もりしましょう。
遠慮せずどんどん資料請求してセミナーや相談会に参加しましょう。


  現地のサポートの有無

ここまでで全てを判断するのは難しいですが、冒頭で述べたように、無料を謳っているところは出国の段階でサポートが終了するところが多いです。
サポート期間がいつまで続くかは必ず確認しましょう。
私の利用したところはもちろん、出国の段階で契約終了となりました。何が起きても頼れるのは自分と保険だけです。

現地サポートの有無は結構大事な気がしています。
実際に現地サポートを体験していないのであくまでも可能性の話ですが、例えば細かいことで聞きたいことがある時、現地時間で質問ができるのが大きなメリットになると思います。
日本との時差は7〜8時間(日本が早い。サマータイム時が7時間)なので、例えばイタリアが夕方で、何か問題が起きた時、日本は真夜中です。
9時や10時(イタリアは夜中の2時3時)の営業開始を待てればいいですが、そういう点からも現地サポートは重要だと考えます。
エージェント側もここでしっかりサポート料を受け取っていれば、金額分くらいはやってやろうという気になってくれるかもしれませんが、無料気分で仕事されると人によって態度を変えられてしまう可能性があります。

    エージェントを利用しないという選択肢

事実として、エージェントを利用せずに日本から留学しに来ている人は数名いました。
全員の話は聞けていませんが、ある日本人男性とエージェントについて話す機会があり、興味深い話を聞くことができました。
彼は留学初心者で、英語はある程度読み書きができて会話は海外旅行が普通にできるレベル、イタリア語はそれなりにやっていた、というよくいる普通の日本人留学生です。
しかし彼はエージェントを利用せず、自分で学校、住居を契約し、実際にイタリアにきて留学生活を送っていました。
留学初心者がどのようにそうしたかというと、彼は、留学エージェント(イタリア以外も含め)のセミナーというセミナー、説明会という説明会に参加し、学校や保険のパンフレットを大量に集め吟味し、直接質問して情報をかき集めて、結局どことも契約せず自分で学校にコンタクトを取り、学費を払って入学手続きを完了させたのです。

なんせ、「相談無料!」なんですから、実際にできるかどうかは別にしてそういう使い方もできるわけですね。
まさしく目から鱗で、よく考えたらできなくはないなと今は思います。私は知識がなくまんまとエージェントを利用してしまいましたが。
要は電化製品屋さんでしっかり商品について説明を受けた後、Amazonで購入するのと同じですよね。
ビザ発給に必要な現地住居の書類についても、エアビーで一旦1ヶ月程度滞在しておける場所を確保しておいて(※1)、保険はパンフレットに記載してある電話番号にかけて契約したそうです。 (※1:彼のこの住居の書類についての話は事実と異なる場合があります。学校が別で書類用の住所を用意してくれていた可能性もあります。理由は⇨ビザに必要な書類について、をお読みください。)

この彼の話はどこまで本当なのかは確かめようもありませんし、実際にできるのかはわかりませんが、短期留学ならエージェントの必要性はさらに薄れます。
とはいえ、留学に関して安易に一人で全て済ませようとするのは決してお勧めはできませんが、英語に自信がある方はエージェントに支払う(結果として)無駄な費用を節約できるためアリだとは思います。参考までに。

    まとめ

6つのポイントを抑え、エージェントを賢く利用するために参考になればと思います。
noteにてもっと切り込んだ記事を掲載しています。企業名が出てくるので有料にしていますが、本気でエージェントを選びたい方はぜひお読みください。